>>21 サンプル出すと長くなっちゃうな。皆、読むかね?だけどまあ、村上春樹で。
ピンボール研究書「ボーナス・ライト」の序文はこのように語っている。
あなたがピンボール・マシーンから得るものは殆ど何もない。数値に置き換えられたプライドだけだ。
失うものは実にいっぱいある。歴代大統領の銅像が全部建てられるくらいの銅貨と、取り返すことのできぬ貴重な時間だ。
あなたがピンボール・マシンの前で孤独な消耗をつづけているあいだに、ある者はプルーストを読み続けているかもしれない。
またある者はドライブ・イン・シアターでガール・フレンドと『勇気ある追跡』を眺めながらヘビー・ペッティングに励んでいるかもしれない。
そして彼らは時代を洞察する作家となり、あるいは幸せな夫婦となるかもしれない。
しかし、ピンボール・マシンはあなたを何処にも連れて行きはしない。リプレイのランプを灯すだけだ。リプレイ、リプレイ、リプレイ……、
まるでピンボール・ゲームそのもがある永劫性を目指しているようにさえ思えてくる。
永劫性については我々は多くを知らぬ。しかしその影を推し測ることはできる。
ピンボールの目的は自己表現にあるのではなく、自己変革にある。エゴの拡大にではなく、縮小にある。分析にではなく、包括にある。
もしあなたが自己表現やエゴの拡大や分析を目指せば、あなたは反則ランプによって容赦なき報復を受けるだろう。
HAVE A NICE GAME !
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